【憲法審査会】今国会の振り返り。

今日6月12日の憲法審査会は、今国会の振り返りを行いました。

災害などにより一部地域で選挙を行うことが困難であったとしても、選挙を全面的に停止するかどうかは、選挙権の行使を制限する不利益との利益衡量によって判断すべきことは以前指摘しました。

そうだとすると、全面的に選挙を停止すべき場合というのは、半数以上の地域で選挙権の行使が困難であるという、なかなか考え難い場合だ、ということになります。

憲法を学んだことのない人にはなじみがない用語だと思いますが、「国家緊急権」として論じられる事態、革命やクーデター、内乱、戦争などのような事態の一種に該当するように思われます。

極端な例ですが、革命やクーデターが既遂に至ると、権力が変動していますから、首謀者を処罰することはできませんし、このような場合に備える憲法を作っておこう、というのは無意味だと言えます。憲法の教科書には、「もはや法の世界ではない」と表現されていますが、既遂に至らなくても、その前段階で、憲法の規定を完全に遵守する、ということが困難になる場合もあります。

半数以上の地域で選挙が困難となっている状態というのは、相当に深刻な事態が生じていると想定されますから、居住・移転の自由の保障など、憲法の規定を完全に遵守することは難しい局面に至っていると考えられます。このような状態では、遵守できる規定をできる限り遵守し、遵守できなくなってしまった規定もできる限り遵守できる状態に回復するよう努めるのが政治の役割となります。

このような局面で、議員の任期だけを抽出して、憲法に規定を設けようというのは、無理筋と思われますし、ましてやこのような事態を憲法改正の立法事実であるというのは間違えであるといっても過言ではないと思います。

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