【特別対談企画】山花郁夫×中村ひろし「居場所と出番をすべての人に」

物価高や格差の拡大、教育や福祉の課題 — いま必要なのは、誰も取り残さず、すべての人の「居場所」と「出番」を支える政治ではないでしょうか。衆議院議員:山花郁夫と東京都議会議員:中村ひろしが取り組む政策と思いについて意見を交わしました。

「熟議の都議会」で都政の発展を

山花 昨年、衆議院で与党が過半数割れしました。立憲民主党が野党第1党として予算委員長を務め、議論が充実した熟議の国会になりました。予算を修正させ、高額療養費制度の負担上限額引き上げ凍結などの成果も出ました。有権者の選択は社会の大きな変化につながります。

中村 都議会にも自民党の裏金問題が広がり、議長が辞職する大事件になりました。物価高騰で都民生活が厳しい中、古い政治を新しくし、「熟議の都議会」に変えることが必要です。強大な権力を持つ知事に対して議会が監視の目を光らすことが健全な都政の発展につながります。知事と議会が緊張関係を保つことが必要です。もちろん積極的に提案もし、多くの政策も実現してきました。

物価高騰対策で暮らしをもっと良くする

山花 2023年、所得格差を表す指数であるジニ係数が過去最大となりました。これまで政府は、富裕層を優遇すれば、その人たちがお金を使い、経済がまわるというモデルで政策遂行してきました。一部の人たちが富を独占するのではなく、多くの人が平均的な豊かさを享受できる社会へ。現在の政府の政策の転換を求めます。

中村 都の予算は一国の予算にも相当する17兆円もの規模ですが、豊かさの実感がありません。物価高騰を上回る賃上げ支援、福祉人材の待遇改善、正規雇用化の促進など、若い世代、女性、就職氷河期世代、高齢者等の所得向上を図ります。都内企業の多くを占める中小零細企業の支援も行います。一人一人に寄り添い暮らしをもっと良くするよう取り組みます。

人への投資、教育の無償化実現へ

山花 人への投資として教育は重要です。本来、教育によって機会の平等が確保され、頑張った者がきちんと報われる、そういった社会を目指すべきですが、むしろ教育によって格差が再生産されてしまう風潮は、徹底的に改めるべきです。教育への投資は、未来への投資そのものです。山積する課題を解きほぐし、質の高い教育を実現するために、教育の無償化を実現することが必要です。

中村 立憲民主党は、小中学校の給食費無償化を提案し、国に先駆けて実現しました。さらに、高校の実質無償化や、給付型奨学金の拡充など就学支援制度の拡充で格差を是正し、学びの機会を保障します。いじめや不登校、多様な学びや居場所、家庭の問題等、個々の事情に合わせ、誰一人取り残さない体制を強化していきます。

すべての人に優しい社会に向けて

山花 今年は聴覚障がい者のオリンピック「デフリンピック」東京大会が開催されます。手話を普及させ共に生きる社会を目指して手話言語法案の提出をはじめとして、障がい者施策に取り組んできました。人権や障がい者施策は「一部の人のこと」ではなく、マイノリティに優しい社会はすべての人に優しい社会に通じます。

中村 一緒に都立のろう学校で、手話、筆談を用いて一人ひとりに応じた授業を見学しました。都議会では立憲民主党の提案もあり、2022年に議員立法で手話言語条例を制定し、今年はすべての人が情報が入手できる情報コミュニケーション条例も制定しました。デフリンピックを契機に、さらに障がい者への理解の促進、環境整備に取り組みます。

居場所と出番をすべての人に

山花 少子高齢社会において、確かな年金・医療・介護・福祉の構築が求められます。誰にでも身近な地域に居場所がある社会こそ、健全な民主的な社会であり、孤立を防ぎ、人々を守る社会の構築に向けて取り組みます。保育・介護等の福祉に従事する方々の待遇改善を図ることも必要です。また、住まいの確保は、生活基盤を保障する最も基本的で重要な政策であり、家賃補助の仕組みが必要です。

中村 都営住宅は倍率が高いため、くじに外れて入居できない方への家賃補助制度創設に取り組んでいます。高齢者の移動に欠かせないシルバーパスの費用も、1千円の次は約2万円と大きな格差があったので、1万2千円への引き下げを実現できました。引き続き、ヘルパー不足への対応、特別養護老人ホームの整備等「居場所と出番をすべての人に」つくるべく取り組みます。

三多摩格差の是正で都内同じサービスを

山花 住民により密着したサービスを提供するため、「地域主権」に取り組んできました。しかし、東京都では23区と市町村との財政的格差が著しく、都の広域的な調整が期待されます。格差が広がり、行政サービスにも格差が生じ、地域間格差が個人格差を広げてしまっています。23区に隣接する三鷹市では、道を一本超えるとサービスが異なっています。

中村 給食の無償化や子どもの医療費の無償化等は23区が先行し、市町村では都の補助があってようやく実現しました。新型コロナ禍においても、23区にはすべての区に独自の保健所があって迅速かつ細かく対応ができましたが、多くの市町村では統廃合しているため膨大な人口を所管しています。未知なる感染症の流行に備え保健所の復活を求めます。

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