格差の是正に向けて

小泉改革以来、「頑張った人が報われる」をキャッチ・コピーに、所得税・住民税のフラット化がすすめられました。つまり、「フラット化」という言葉は中立的ですが、累進性を緩和し、高額所得者の優遇政策が続けられてきました。

アベノミクスも、強い人をより強くし、高額所得者がたくさんお金を使えば、豊かさが上から滴り落ちる(トゥリクルダウン)という考え方でした。
しかし格差は拡大する一方で、トゥリクルダウンは起きませんでした。

頑張った人が報われることは否定しませんが、頑張っても報われない人、頑張りたくてもそのチャンスがつかめない人々がいることに光を当てることが政治の役割です。格差を是正し、一握りの人が富を独占するのではなく、より多くの人が平均的な豊かさを享受できる社会を目指すべきです。

実質賃金の向上へ

「1億円の壁」という言葉がありますが、所得が1億円を超えると実質的な税負担が軽くなることが起きています。所得税については累進性(高所得者ほど税率が高くなる)の強化をし、超高額所得者には応分の負担を求めることにより格差の是正を求めます。

法人税もフラット化されましたが、累進化を検討すべきです。超大企業は、同じお金を出すのであれば国に納めるのではなく、従業員の賃金に充てようというインセンティヴになります。今のままでは、企業が大きな利益を上げても、賃金には向かわず、内部留保に向かうだけです。

所得再分配機能の強化

消費税には低所得者ほど実質的な税負担が大きくなるという逆進性があります。複数税率(10%と8%)では、高級食材も8%の恩恵にあずかる一方、日常生活に最低限必要な物品でも10%の税率で、逆進性の是正にはなりません。給付付き税額控除で、低所得者の消費税負担を解消し、所得再分配機能を強化します。

Point

10万円の給付付き税額控除を行う場合、税額が15万円の人は5万円を納付し(10万円の税額控除)、税額が5万円の人には5万円が支給される(5万円の税額控除および5万円の手当給付)という仕組みです。低所得者対策としてはこの方策が簡素で公平なものです。

あなたがあなたらしく生きられるために

「あなたはあなたらしく生きていけばいい」ということが当たり前に言える社会、障がいの有無、性的指向、性的自認によってではなく、一人ひとりの人格によって正当に評価される社会でなければなりません。あらゆる差別と断固たたかい、あるがままを誇れる社会をめざします。

キング牧師による有名な演説「I have a dream」の一節に、「私には夢がある。いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが、肌の色ではなく、その人格によって評価される国で暮らすという夢が」というものがあります。差別のない社会を創る理想は、万国共通であるべきです。

多様な個性や価値観、基本的人権が尊重される社会をめざし、「LGBT(性的少数者)差別解消法案」や同性間による結婚を法制化する「婚姻平等法案」を立案しました。

多様性は一人ひとりの人権の問題であると同時に、社会の活力の源です。個人の人格を尊重し、各々が抱える不安を小さくすること、少数の意見を認め合い、差別や分断を許さない社会の創生はすべての人の安心につながります。

選択的夫婦別姓

婚姻に際して、あくまでも別姓を「選択」することができる、というものです。当事者が同姓を望むのであれば、決してそれを排除するものではありません。自身の姓にアイデンティティを感じる人に別姓でも法的な婚姻の途をひらくべきです。

同性同士の婚姻

同性同士の婚姻やパートナー制度を設ける国が急速に増加しています。愛にはいろいろな形があってよいはずで、人びとの生き方の多様性を保障するため、婚姻についても平等であるべきです。婚姻平等法の実現に努めます。

すべての人に優しい社会のために

マイノリティ(社会的少数者)への配慮から始まった取り組みが多くの人の暮らしを豊かにしている事例はたくさんあります。小さな声、当事者の声を活かす政策づくりを実践します。

駅などでのエレベーター等の設置は、もともとは足の不自由な人への配慮でした。しかし、健常者でも、お年寄りやベビーカーを引く保護者にも、移動の利便性が増しているのではないでしょうか。

「耳の聞こえないメジャーリーガ― ウィリアム・ホイ」(光村教育図書刊)という絵本があります。「ストライク」や「セーフ」などのジェスチャーが、聴覚障がいのあるメジャーリーガーの発案で生まれたエピソードとともに、場内アナウンスも大型モニターもない時代に、プレー内容が観客にもよりわかりやすくなり、観戦の楽しみが増したことが描かれています。

「Nothing About Us Without Us(私たちのことを私たち抜きで決めないで)」障がい者運動における象徴的なスローガンです。マイノリティの人権を保障することは、すべての人に優しい社会へ通じ、社会全体の幸せを増やすことにつながります。

立憲主義を回復し、まっとうな政治を実現する

「すべて権力をもつ者はそれを濫用しがちである。かれは極限までその権力を用いる。それは不断の経験の示すところだ」と、モンテスキューは『法の精神』で述べています。

立憲主義とは、国家のために個人があるのではなく、個人の権利の実現のために国家が奉仕するという考え方で、独裁や恣意的な権力行使に歯止めをかけるものです。

権力者がつくった法律が国民を規律しているのに対し、憲法は国民が自らの権利、人権を守るために、権力を縛るものなのです。

憲法の危機の根源は、権力行使への制約を取り払おうとする権力者のおごりにほかなりません。立憲主義を回復し、まっとうな政治を取り戻します。

ボトムアップの政治の実践

政治課題は生活の中にあり、本当の変化は小さな声から始まります。トップダウンではなく、身近な問題や困りごと、生活実感をもった切実な訴え、みんなで議論して政治の場に提起していくボトムアップの政治の実践を続けていきます。

声をあげれば政治が変わる。今日の少数意見が明日の多数意見になるかもしれないのが民主主義です。