「『選挙困難事態』の立法事実」について

本日(3月13日)、衆議院憲法審査会が開催されました。テーマは「『選挙困難事態』の立法事実」です。

私が党を代表して意見表明を行いました。選挙権の「権利」としての内容に、衆議院であれば最長4年、参議院であれば3年ごとに行使できることが権利の内容となっている、という視点はこれまでの議論ではなかったものだと思います。

多くの地域で選挙が可能であるにもかかわらず、一部の地域で選挙の実施が困難であることを理由に任期の延長を行おうとすることは、「権利」としての側面の制限になることから、比較衡量・比例原則の観点からもバランスを欠いていること、感染症の流行などで行動制限があるような場合にはむしろ現行の公職選挙法の規定の見直しが必要であって、立法事実については現時点では確認できない、というのが発言の要旨です。

あいかわらず「選挙の一体性」ということを理由に議員任期延長を主張する意見が散見されました。
昭和40年代に2回、参議院選挙で繰延投票が実施されています。この時代は全国区の選挙ですから、一部投票所で繰延投票をしたことから全国区の議員の当選が確定しませんでした。

現行法でも、繰延投票を実施すると参議院の全国比例の議員の当選は確定できないことになります。

「選挙の一体性」がそれほど優先しなければならない憲法上の価値であるとしたら、繰延投票を定める公職選挙法の規定は違憲・無効だと主張されるのが論理的と言えますが、それはあまりにもご無体な主張でしょう。つまり、「選挙の一体性」はその方が望ましい、という法律上の利益にすぎないものを理由に憲法を改正すべきだとしていると考えられ、論理的に逆立ちした議論のように思われます。

山花郁夫の最新情報をお届けします