匿名表現について。

このところ、木村花さんの事件がありましたので、SNS上の表現について一定程度ルールが必要ではないかという議論があります。

ちょっと気になっているのが匿名性ということを問題視する意見があるということです。

匿名で表現したことについては、例えば信用性が低いであるとか、あるいは卑怯じゃないか、ということは倫理的には言えるかもしれませんけれども、これを規制していいかどうかということは話が別ではないかと思いますし、また、あまりに広すぎる規制になるのではないかという心配があります。

もともと、表現の自由というのは権力を礼賛するような表現は歴史的に弾圧された経験はありません。

権力を批判したりとか、政権に対して批判する自由として獲得されてきたのが表現の自由です。

そうだとすると匿名性ということは、ある意味その前提とされているということが言えるのではないでしょうか。

顕名、つまり自分の身元を明らかにした表現を行う人権活動家がいつのまにかいなくなってしまったというような国を我々は見ることがありますけれども、本当にそれで自由な国ということはできないと思います。

また、匿名であるからこそ例えば公益通報、内部通報のような形で社会は正常化していくという機能も持っています。

ですから、匿名かどうかということが問題なのではなくて、匿名表現で行われた且つそれが人権侵犯事案だというときに、どういった法的な手立てが必要なのか、という限定された議論が必要なのではないかと考えております。