名古屋入管収容者死亡事案、最終報告書。仮放免制度の柔軟な運用などの対策が必要。

スリランカ人・ウィシュマさんの死亡事案に関する調査報告が法務省から出されました。

法務部会で報告を受けましたが、この報告書の作成者である有識者のうち、専門医2名のみが司法解剖の結果を確認しただけなど、十分納得できる内容ではないという印象でした。

報道にも出ていますが、入管施設での医療体制が十分でなかったという指摘があります。この点、医療体制をもっと充実させるべきことは否定しませんが、私自身の問題意識とはいささかずれているような気がします。

かつて、矯正施設、つまり刑務所などの施設における医療体制をもっと充実すべきことを政府側に訴えたことがあります。
刑務所にいる人にそんなことは必要ないと思う人もいるかもしれませんが、拘禁されていること、懲役刑の場合にはさらに労務が科されることが刑の内容であって、病気になったときに医療の提供がなされないような非人道的なことは刑の内容ではありません。

刑務所の場合、原則として外に出すわけにはいかないので、矯正施設内部での医療体制の充実が必要です。
しかし、入管施設の場合、罰則として収容しているわけではありませんから、より柔軟に仮放免制度を運用して、外部の医療へのアクセスを保障することが必要なのではないでしょうか。

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