【新型コロナ対策本部・内閣・厚労・法務部会合同会議】入院に従わない場合の懲役刑の創設について。
先日に引き続き、新型コロナ対策本部・内閣・厚労・法務部会へ。
政府側から、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案が条文の形で示されました。
論点の一つは入院に従わない場合の懲役刑の創設です。
そもそも、入院できずに自宅待機している間に命を落とす人もいる中で、このような法改正をする具体的な必要性(立法事実)について疑問があります。
政府側の説明では、いきなり刑事罰を科すのではなく、まず「勧告」をして、それに従わない場合は「措置」をとり、それにも従わない場合には刑事罰、という流れである旨の説明がありました。
しかし、「『勧告』や『措置』がこれまでどれくらいの件数あったのか?」との質問に答えられないのには驚きました。
感情的に罰則や重罰化を求めることは理解できなくもありませんが、政策的に適切かは別の問題です。
交通事故死を減らすためには、業務上過失致死罪を重くするよりも、ガードレールやミラーの設置、歩道の整備をすることの方が有効な場合も少なくありません。
コロナ感染の拡大を防ぐには、手厚い補償をしたうえで移動の制限(場合によっては隔離)に従ってもらうことの方が重要と考えます。
また、仮に懲役刑を定めたとして、その運用はどうするのでしょう。
一般に、刑事手続では、逮捕・勾留し、裁判にかけ、有罪かつ懲役刑となれば刑務所に送られます。警察官や検察官、裁判官や刑務官が、隔離が必要とされるコロナ感染者にも接しなければならないことになるのでしょうか?